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ポプラ社の「百年文庫」
セットになっていることで普段自分では手に取らない作家作品との出会いがあるので面白い。

1.作品リスト      2.メモ

No収 録 作 品感想
1太宰治『女生徒』
ラディゲ『ドニイズ』
久坂葉子『幾度目かの最期』
2海音寺潮五郎『善助と万助』
コナン・ドイル『五十年後』
山本周五郎『山椿』
3林芙美子『馬乃文章』
獅子文六『ある結婚式』
山川方夫『軍国歌謡集』
4志賀直哉『流行感冒』
正岡容『置土産』
里見ク『秋日和』
5幸田文『台所のおと』
川口松太郎『深川の鈴』
高浜虚子『斑鳩物語』
6ドストエフスキー『正直な泥棒』
芥川龍之介『秋』
プレヴォー『田舎』
7コンラッド『進歩の前哨基地』
大岡昇平『暗号手』
フロベール『聖ジュリアン伝』
8ツヴァイク『第三の鳩の物語』
魯迅『小さな出来事』
トルストイ『神父セルギイ』
9カポーティ『夜の樹』
吉行淳之介『曲った背中』
アンダスン『悲しいホルン吹きたち』
10円地文子『白梅の女』
島村利正『仙酔島』
井上靖『玉碗記』
11カフカ『断食芸人』
長谷川四郎『鶴』
ゴーリキイ『二十六人とひとり』
12井伏鱒二『白毛』
幸田露伴『幻談』
上林暁『二閑人交游図』
13ヴァーグナー『ベートーヴェンまいり』
ホフマン『クレスペル顧問官』
ダウスン『エゴイストの回想』
14島木健作『煙』
ユザンヌ『シジスモンの遺産』
佐藤春夫『帰去来』
15梅ア春生『庭の眺め』
スタインベック『白いウズラ』
岡本かの子『金魚撩乱』
16坂口安吾『夜長姫と耳男』
檀一雄『光る道』
谷崎潤一郎『秘密』
17江戸川乱歩『人でなしの恋』
ビアス『人間と蛇』
ポー『ウィリアム・ウィルスン』
18モンゴメリー『ロイド老嬢』
ジョルジュ・サンド『花のささやき』
タゴール『カブリワラ』
19小山清『朴歯の下駄』
藤原審爾『罪な女』
広津柳浪『今戸心中』
20戸川幸夫『爪王』
ジャック・ロンドン『焚火』
バルザック『海辺の悲劇』
21シュトルム『レナ・ヴィース』
オー・ヘンリ『最後の一葉』
ヴァッサーマン『お守り』
22ギャスケル『異父兄弟』 
パヴェーゼ『流刑地』
中山義秀『碑』
23H・G・ウェルズ『塀についたドア』
シュニッツラー『わかれ』
ホーフマンスタール『第六七二夜の物語』
24織田作之助『螢』
日影丈吉『吉備津の釜』
室生犀星『津の国人』
25加能作次郎『母』
耕治人『東北の女』
由起しげ子『女中ッ子』
26遠藤周作『シラノ・ド・ベルジュラック』
ピランデルロ『よその家のあかり』ほか
神西 清『恢復期』
27石坂洋次郎『婦人靴』
椎名麟三『黄昏の回想』
和田芳惠『雪女』
28中勘助『島守』
寺田寅彦『団栗』ほか
永井荷風『雨瀟瀟』
29フィッツジェラルド『冬の夢』
木々高太郎『新月』
小沼丹『白孔雀のいるホテル』
30ロレンス『菊の香り』
内田百閨wとおぼえ』
永井龍男『冬の日』
31夏目漱石『琴のそら音』
ラフカディオ・ハーン『きみ子』 
正岡子規『熊手と提灯』ほか
32ホーソーン『牧師の黒のベール』
夢野久作『けむりを吐かぬ煙突』
サド『ファクスランジュ』
33ルナアル『フィリップ一家の家風』
リルケ『老人』
プラトーノフ『帰還』
34伊藤左千夫『隣の嫁』
江見水蔭『炭焼の煙』 
吉川英治『春の雁』
35中島敦『かめれおん日記』
石川淳『明月珠』
島尾敏雄『アスファルトと蜘蛛の子ら』
36スティーヴンスン『マークハイム』
エインズワース『メアリ・スチュークリ』
マーク・トウェイン『百万ポンド紙幣』
37ヨーゼフ・ロート『駅長ファルメライアー』
戸板康二『グリーン車の子供』
プーシキン『駅長』
38尾崎一雄『華燭の日』ほか
高見順『草のいのちを』
ラム『年金生活者』ほか
39川端康成『白い満月』
ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』
尾崎翠『途上にて』
40ラニアン『ブロードウェイの天使』
チェーホフ『子供たち』
モーパッサン『悲恋』
41芝木好子『洲崎パラダイス』
西條八十『黒縮緬の女』
平林たい子『行く雲』
42ポルガー『すみれの君』
三島由紀夫『雨のなかの噴水』
ヘミングウェイ『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』
43フィリップ『帰宅』ほか
坪田譲治『甚七南画風景』
シュティフター『みかげ石』
44吉屋信子『もう一人の私』
山本有三『チョコレート』
石川達三『自由詩人』
45ヴェルガ『羊飼イエーリ』
キロガ『流されて』
武田泰淳『動物』
46樋口一葉『十三夜』
国木田独歩『置土産』
森鴎外『うたかたの記』
47オーウェル『象を射つ』
武田麟太郎『日本三文オペラ』
モーム『マッキントッシュ』
48菊池寛『俊寛』
八木義徳『劉廣福』
シェンキェヴィチ『燈台守』
49矢田津世子『茶粥の記』ほか
藤沢桓夫『茶人』
上司小剣『鱧の皮』
50ギッシング『くすり指』
H・S・ホワイトヘッド『お茶の葉』
ウォートン『ローマ熱』
51アンデルセン 『ひとり者のナイトキャップ』
ビョルンソン 『父親』
ラーゲルレーヴ 『ともしび』
52久米正雄『求婚者の話』
ジョイス『下宿屋』
ラードナー『アリバイ・アイク』
53谷 譲次『感傷の靴』
子母澤 寛『チコのはなし』
富士正晴『一夜の宿・恋の傍杖』
54ノヴァーリス『アトランティス物語』
ベッケル『枯葉』
ゴーチエ『ポンペイ夜話』
55北原武夫『聖家族』
ジョージ・ムーア『懐郷』
藤枝静男『悲しいだけ』
56久生十蘭『春雪』
チャペック『城の人々』
アルツィバーシェフ『死』
57A・フランス『ユダヤの太守』
ムシル『ポルトガルの女』
ゲーテ『ノヴェレ』
58ディケンズ『追いつめられて』
ボードレール『気前のよい賭け事師』
メリメ『イールのヴィーナス』
59吉田健一『海坊主』
牧野信一『天狗洞食客記』
小島信夫『馬』
60丹羽文雄『交叉点』
舟橋聖一『ツンバ売りのお鈴』
古山高麗雄『金色の鼻』
61水上瀧太郎『山の手の子』
ネルヴァル『オクタヴィ』
鈴木三重吉『千鳥』
62宮沢賢治『革トランク』『ガドルフの百合』
与謝野晶子『嘘』『狐の子供』
エロシェンコ『ある孤独な魂』ほか
63ゾラ『引き立て役』
深尾須磨子『さぼてんの花』
ミュッセ『ミミ・パンソン』
64クライスト『拾い子』
リラダン『断頭台の秘密』
フーフ『歌手』
65宿尾崎士郎『鳴沢先生』
長田幹彦『零落』
近松秋江『惜春の賦』
66ドライサー『亡き妻フィービー』
ノディエ『青靴下のジャン=フランソワ』
ガルシン『紅い花』
67森 茉莉『薔薇くい姫』
片山廣子『ばらの花五つ』
城 夏子『つらつら椿』
68梶井基次郎『冬の蝿』
中谷孝雄『春の絵巻』
北條民雄『いのちの初夜』
69伊藤 整『生物祭』
横光利一『春は馬車に乗って』
福永武彦『廃市』
70ツルゲーネフ『ベージンの野』
ドーデー『星』
シラー『誇りを汚された犯罪者』
71ハイゼ『片意地娘』
W・アーヴィング『幽霊花婿』
スタンダール『ほれぐすり
72小川国夫『心臓』
龍胆寺 雄『蟹』
プルースト『乙女の告白』
73壺井 栄『大根の葉』
二葉亭四迷『出産』
葉山嘉樹『子を護る』
74近藤啓太郎『赤いパンツ』
徳田秋声『夜航船』
野上弥生子『海神丸』
75マンスフィールド『見知らぬ人』
野溝七生子『ヌマ叔母さん』
ヘッセ『アヤメ』
76カミュ『ヨナ』
安部公房『魔法のチョーク』
サヴィニオ『「人生」という名の家』
77堀辰雄『麦藁帽子』
ウンセット『少女』
デレッダ『コロンバ』
78有島武郎『骨』
島崎藤村『藁草履』
ジット『放蕩息子の帰宅』
79小林多喜二『駄菓子屋』
十和田操『判任官の子』
宮本百合子『三月の第四日曜』
80メルヴィル『バイオリン弾き』
トラークル『夢の国』
H・シェイムズ『にぎやかな街角』
81鷹野つぎ『悲しき配分』
中里恒子『家の中』
正宗白鳥『入江のほとり』
82斎藤緑雨『油地獄』
田村俊子『春の晩』
尾崎紅葉『恋山賎』
83黒島伝治『電報』『豚群』
葛西善蔵『馬糞石』
杉浦明平『泥芝居』
84ワイルド『カンタヴィルの幽霊』
サキ『ガブリエル・アーネスト』
ウォルポール『ラント夫人』
85若杉鳥子『帰郷』
素木しづ『三十三の死』
大田洋子『残醜点々』
86ヴィーヒェルト『母』
キプリング『メアリ・ポストゲイト』
原 民喜『夏の花』
87徳冨蘆花『漁師の娘』
宮本常一『土佐源氏』
若山牧水『みなかみ紀行』
88田村泰次郎『男鹿』
ゴーゴリ『幌馬車』
ハーディ『三人の見知らぬ客』
89北條 誠『舞扇』
久保田万太郎『きのうの今日』
佐多稲子『レストラン洛陽』
90五味康祐『喪神』
岡本綺堂『兜』
泉 鏡花『眉かくしの霊』
91木山捷平『耳かき抄』
新美南吉『嘘』
中村地平『南方郵信』
92深沢七郎『おくま嘘歌』
島尾ミホ『洗骨』
色川武大『連笑』
93コリンズ『黒い小屋』 
アラルコン『割符帳』 
リール『神様、お慈悲を!』
94堀田善衞『鶴のいた庭』
小山いと子『石段』
川崎長太郎『兄の立場』
95火野葦平『伝説』
ルゴーネス『火の雨』
吉村 昭『少女架刑』
96武者小路実篤『馬鹿一』
高村光太郎『山の雪』
宇野千代『八重山の雪』
97宇野浩二『枯木のある風景』
松永延造『ラ氏の笛』
洲之内徹『赤まんま忌』
98トーマス・マン『幸福への意志』
ローデンバック『肖像の一生』
ヤコブセン『フェーンス夫人』
99今 東光『清貧の賦』
北村透谷『星夜』
田宮虎彦『霧の中』
100田山花袋『朝』
李 孝石『そばの花咲く頃』
伊藤永之介『鶯』
 メモ 

13 響
作曲家の「あの」ワーグナーが若い頃書いた小説「ベートーヴェンまいり」。敬愛する大作曲家に会いにいくR(本人、但し内容はフィクション)。俗物イギリス人に邪魔され奮闘する様が滑稽(それにしても外国人嫌い?)。楽器と声の結合、言葉での表現…は実はワーグナーの想い?
(原語(ドイツ語)もこの本の表記もヴァーグナーだけど、ワーグナーの方が聞き慣れているかなという事でワーグナーと書いてみました。)

「クレスペル顧問官」著者ホフマンは作家、作曲家、画家、法律家と多才な人物。奇人クレスペルが娘の世にも美しい歌声を誰にも聞かせない理由とは。

ダウスン「エゴイストの回想」今は成功している音楽家が手回しオルガンの音で浮浪児だった頃を回想する。
26 窓
遠藤周作「シラノ・ド・ベルジュラック」、ピランデルロ「よその家のあかり」「訪問」、神西清「恢復期」。

リヨンで孤独な元大学教授への興味から手に入れた実在のシラノの手記。ロスタンの戯曲とは違うシラノ。日本では文学とは人間の真実を追求する事というのに対し、それは宗教がやるもので文学とはまず言葉、レトリックという教授。「よその〜」は孤独な暗闇の中で暮らしていた主人公が窓から見た隣家のあかり、幸福。その後の展開が意外だった。全体を通じての悲哀感。ノーベル文学賞受賞者であるピランデルロの生涯も悲劇的。
30 影
30巻のテーマは「影」。炭鉱で働く夫の帰りを待つ妻、D.H.ロレンス「菊の香り」/怪談のような内田百閧フ「とおぼえ」。主人公は一体何者だったのか。夏に読みたいようなお話/娘が亡くなったあと婿と孫と暮らす登利の決断、永井龍男「冬の日」
58 顔 
ディケンズ「追いつめられて」生命保険会社に勤めるサンプソン氏。ある日事務所を訪れた男と知り合いになるが、どうしても彼の顔に嫌悪感を抱いてしまう。彼は印象通りの悪人なのか、それともただの思い違いなのか。ヴィクトリア朝ロンドン。
「追いつめられて」(Hunted Down) 1859年アメリカの雑誌「ニューヨーク・レジャー」に発表された作品。後にエラリー・クイーンにより推理小説の傑作として高く評価されている。

ボードレール「気前の良い賭け事師」パリの雑踏ですれ違った男。お互い何かを感じ彼の後について行くと…。ほんの数ページの短い作品だが、なかなか面白い。

メリメ「イールのヴィーナス」メリメが考古学者でもあったとは知らなかった。掘り出された銅製のヴィーナス像。怪奇幻想的作品。
59 客 
吉田健一「海坊主」、牧野信一「天狗洞食客記」、小島信夫「馬」。

どれもおかしな話ばかり。古い作品が現代仮名遣でふりがな多用、そしてこの様な大きな文字で出版されると読み易い。「海坊主」はとても短い話。人間は食べないよとにやりと笑うのが乙。「天狗洞」は勘違いで修業をどんどんクリアしていくのが可笑しい。「馬」は恐妻家の僕が考える事がいちいちおかしくて笑ってしまうのだけど、一体どこまでが現実なのか空想なのか、何が本当なのかよく分からない、なんだか騙されたような感じもする不条理話。面白い。
84 幽
オスカー・ワイルド「カンタヴィルの幽霊」、サキ「ガブリエル・アーネスト」、ウォルポール「ラント夫人」の3編。ワイルドが一番面白かった。ちょっと気の毒にさえ思えてくるカンタヴィルの幽霊。滑稽でユーモラスなだけでなく、ロマンティックで美しい。サキを読むのは久しぶり。変に訳語にひっかかってしまいストーリーの印象が少々薄れてしまった。自分の領地内の森に居た少年の話。タイトルの妙。ウォルポールは所謂怪談話といったところ。
93 転
ウィルキー・コリンズ「黒い小屋」、アラルコン「割符帳」、リール「神様、お慈悲を!」の3編。一人留守番をする娘の小屋を襲う荒くれ者たち。現代の小説や現実社会の怖さの方が強烈なので、昔話のように感じてしまう。/割符帳、盗まれた南瓜への執念。/リールの話が一番興味深く面白かった。乞食から出世しても乞食時代を恋しがる主人公、というだけでは説明しきれない。父のような存在の乞食のハンス。幻の郷愁を乗り越えて勤勉に生きよと言いながらも実は牧師も昔の夢への思いが残っていた事。百年文庫は思わぬ作家や作品と出会えて面白い。

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