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 チャールズ・ディケンズ

Charles Dickens

(1812〜1870) ヴィクトリア朝を代表する英国の小説家。貧しい人々の生活を哀歓をこめて描き幾多の不朽の人物像を生みだした。ユーモアとペーソスのある文章で国民から人気を博す。
1. 作品リスト(長編小説+α)
2. 翻訳一覧・メモ
3. 短編収録リスト
4. 登場人物一覧 ニコラス・ニックルビー

 1.作品リスト 

Noタイトル出版年memo
ボズのスケッチ集Sketches by Boz1836短編集
01ピクウィック・クラブPickwick Papers1836-1837
02オリバー・ツイストOliver Twist1837-1839
03ニコラス・ニックルビーNicholas Nickleby1838-1839
04骨董屋The Old Curiosity Shop1840-1841
05バーナビー・ラッジBarnaby Rudge1841
06マーティン・チャズルウィットMartin Chuzzlewit1843-1844
クリスマス・キャロルA Christmas Coral1843中編
07ドンビー父子Dombey and Son1846-1848
08デイヴィッド・コパーフィールドDavid Copperfield1849-1850
09荒涼館Bleak House1852-1853
10困難な時代Hard Times1854
11リトル・ドリットLittle Dorrit1855-1857
12二都物語The Tale of Two Cities1859
追いつめられてHunted Down1859短篇
13大いなる遺産The Great Expectations1860-1861
14我らが共通の友Our Mutual Friend1864
信号手The Signalman1866短篇
15エドウィン・ドルードの謎The Mystery of Edwin Drood1870未完
 2.長編作品 翻訳一覧 メモ 

01 ピクウィック・クラブ
ディケンズ長編第1作。
  • 宮西豊逸 訳 『ピクウィック倶楽部』上中下巻 (三笠書房 世界文学選書<第66> 1951)
  • 北川悌二 訳 『ピクウィック・クラブ』上中下 (三笠書房 1971.11/ちくま文庫 1990.2)
  • 田辺洋子 訳 『ピクウィック・ペーパーズ』上下巻 (あぽろん社 2002.7)
02 オリバー・ツイスト
この中では小池滋さんの訳。日本でも有名どころなのでこの後も翻訳は出ている。
  • 中村能三 訳 『オリバー・ツイスト』上下 (新潮文庫 1955、2005.12改)
  • 北川悌二 訳 『オリバー・ツイスト』上下 (三笠書房 1968/角川文庫 2006.1)
  • 小池滋 訳 『オリヴァー・トゥイスト』
       (講談社世界文学全集13 1970.5/講談社文庫 1971.10/ちくま文庫 1990.12)
  • 本多季子 訳 『オリヴァ・ツウィスト』上下 (岩波文庫 1989)

[おもしろ話] この作品が初めて日本に翻案されたのは明治44年。タイトル『小桜新八』。 東京は小桜町の養育院で生まれた小桜新八が山銀(フェイギン)、佐伯敏州(サイクス)に出会うというものだったらしい。
03 ニコラス・ニックルビー
菊池氏訳は<第一>とある様に完訳では無く訳されたのもかなり昔。話はそれなりに面白いのだけれども、唯一の完訳の翻訳に問題が有り過ぎるのが残念でならない。
ウィキペディアのこの項目は内容についての情報はそう多くないのに登場人物紹介での重要なネタバレが多い。 別途  登場人物一覧をメモしてみた。

  • 菊池武一 訳 『善神と魔神と(ニコラス・ニクルビー)』<第一> (角川書店 1953))
  • 田辺洋子 訳 『ニコラス・ニクルビー』上下 (こびあん書房 2001.4)
(上巻)ヨークシャーの寄宿学校での虐待問題が契機となり実地視察もして書かれたもの。訳に疑問を感じる箇所が多々あるが、唯一の完訳なので日本語で読みたければこれを読まざるを得ない。父親の急逝によりロンドンのおじを頼ることになったニコラスら家族。寄宿学校の場面はそう長くなく、その後旅芸人に加わったり妹が放蕩貴族に言い寄られたりが続いている。もっと印象的でディケンズ的な人物が登場するのは下巻か?
(下巻)頼りにしていた伯父は冷酷で腹黒く、ニコラスの人生は波乱万丈。善人に悪人。恋に笑いに怒りに涙。ディケンズ作品ではおなじみの、スマイク、ノッグズ、クラムルズなど独特で愉快な登場人物たち(ニクルビー夫人はディケンズの母がモデル)。この作品は何度も映画化・舞台化もされており、本当は引き込まれるような楽しい作品のはず。
04 骨董屋
短編の予定だったものを長編にしたため即興的に書き綴っていったにも関わらず、当時英米で熱狂的な人気を博した。 日本でもかつてこの小説を原作とした「さすらいの少女ネル」というアニメが放映されていたらしい。翻訳は集英社の方が断然読み易いのだが抄訳。
ちくま文庫上巻の解説には下巻の重大なネタバレがあるので注意。

  • 北川悌二 訳 『骨董屋』上下 (三笠書房 1973.7/ちくま文庫 1989.10)
  • 猪熊恵子 訳 『骨董屋』(抄訳)
       (集英社文庫ヘリテージシリーズ ポケットマスターピース05 ディケンズ 2016.2)
05 バーナビー・ラッジ
連載の発刊に追われ行き当たりばったりで書いたのではなく構想を練って描かれたもの。最初に殺人事件の話は出てくるが、どちらかと言うとゴードン暴動(1780年に起きた宗教がらみの騒乱)がメイン。歴史物としては『二都物語』の方がドラマチック。 黎明期のため推理小説として読めば物足りないが、無垢なバーナビーも巻き込まれる騒乱や運命など、やはりテレビの無い時代にディケンズの小説は人々を引きつけて止まないものなのだったと思う。

  • 小池滋、中川敏 訳 『バーナビー・ラッジ』 (集英社 世界文学全集(15) 1975.10)
06 マーティン・チャズルウィット
  • 北川悌二 訳 『マーティン・チャズルウィット』上中下 (三笠書房 1974/ちくま文庫 1993.8)
  • 田辺洋子 訳 『新訳・マーティン・チャズルウィット 』上下 (あぽろん社 2005.9)

[おまけ]  ■昭和12年の翻訳は『千鶴井家の人々』松本泰 松本恵子 訳(中央公論社・ヂツケンス物語全集第五巻)
マルチン・チャヅルヰツトを「千鶴井長寿丸」、ヤング・マルチンを「千鶴井長丸」、メイリイ・グラハムを「栗濱萬里子」と物語全体を日本風に翻案。その他登場人物は山鼻氏(ペックスニフ?)、與七、萬里子(まりこ)、めぐみちゃん。そして青大将酒場。
−「誰!其処にゐるのは誰!」娘は鍵孔に口を寄せて叫んだ。応答がない−だが、この時、すでに偽善の仮面は徐々に引剥がれてゐた。嫉視の的となつた百万長者の嗣子千鶴井長丸の生活態度、美しき不幸な姉妹の結婚など、世の親達とその子供達への又なき警鐘の一篇 (紹介文より)
07 ドンビー父子
  • 田辺洋子 訳 『ドンビー父子 』上下 (こびあん書房 2000.5)
08 デイヴィッド・コパーフィールド
さすが翻訳も多い作品。中野好夫先生訳も良いけれどちょっと古いのかな?
  • 中野好夫 訳 『デイヴィッド・コパフィールド 』全四巻 (新潮文庫 1967.2)
  • 石塚裕子 訳 『デイヴィッド・コパフィールド 』全五巻 (岩波文庫 2002.7)
  • 田辺洋子 訳 『新訳デイヴィッド・コパフィールド 』上下巻 (あぽろん社 2006.7)
  • 猪熊恵子 訳 『デイヴィッド・コッパフィールド』(抄訳)
       (集英社文庫ヘリテージシリーズ ポケットマスターピース05 ディケンズ 2016.2)
09 荒涼館
ちくま文庫版が良いでしょう。絶版になっているものもあるなかこれは現在も入手可能。
  • 青木雄造、小池滋 訳 『荒涼館』全四巻 (筑摩世界文学大系34 1975.1/ちくま文庫 1989.2)
  • 田辺洋子 訳 『荒涼館 新訳』上下巻 (あぽろん社 2007.8)
10 困難な時代
ディケンズにしてはたったの1冊という“短い”作品。
舞台はロンドンではなく北の工場町。事実や数字のみを重んじる教育システムによって感情や人の気持ちを解する事のできなくなった人々。最後に皆の間を取り持ったのはシシー。彼女の出身は事実の対局とされた想像力の象徴サーカス、ひどい労働をさせられているイギリス人にとって必要なもの、娯楽の代表でもある。スリアリー「人は何か楽しまねばいけませんからね」労使問題や離婚問題も盛り込んでいたりサーカスで纏めるのはうまいがややいまいちな感じもする作品。
  • 山村元彦、竹村義和、田中孝信 共訳 『ハード・タイムズ』 (英宝社 2000.4)
11 リトル・ドリット
  • 小池滋 訳 『リトル・ドリット』全四巻 (筑摩世界文学大系33 1980.10/ちくま文庫 1991.1)
12 二都物語
  • 中野好夫 訳 『二都物語』上下 (新潮文庫 1967.1)
  • 加賀山卓朗 訳 『二都物語』 (新潮文庫 2014.5)
  • 池 央耿 訳 『二都物語』上下 (光文社古典新訳文庫 2016.3)
□ 追いつめられて(短篇)
1859年アメリカの雑誌「ニューヨーク・レジャー」に発表された作品。後にエラリー・クイーンにより推理小説の傑作として高く評価されている。
  • 小池滋 訳 「追いつめられて」(百年文庫 58 「顔」に収録 2010.12.10)
その他収録多数。詳細はこちら⇒短編収録本リスト
13 大いなる遺産
英ガーディアン誌の必読1000冊、ノルウェーブッククラブの名作100冊にも選ばれている作品。
  • 山西英一 訳 『大いなる遺産』上下 (新潮文庫 1951.11)
  • 山本政喜 訳 『大いなる遺産』上中下 (角川文庫クラシックス 1998.5)
  • 田辺洋子 訳 『大いなる遺産 新訳』上中下 (渓水社 2011.4)
  • 佐々木徹 訳 『大いなる遺産』上下 (河出文庫 2011.7)
  • 石塚裕子 訳 『大いなる遺産』上下 (岩波文庫 2014.11)
14 我らが共通の友
  • 間二郎 訳 『我らが共通の友』上中下 (ちくま文庫 1997.1)
  • 猪熊恵子 訳 『我らが共通の友』(抄訳)
       (集英社文庫ヘリテージシリーズ ポケットマスターピース05 ディケンズ 2016.2)
□ 信号手(短篇)
元来は「マグビー・ジャンクション」と題された連作の一部として発表された。
  • 柴田元幸 訳 「信号手」柴田元幸翻訳叢書「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」2015.7.11
その他収録多数。詳細はこちら⇒短編収録本リスト
15 エドウィン・ドルードの謎
  • 小池滋 訳 『エドウィン・ドルードの謎』
      (創元推理文庫 1988.5/白水Uブックス 191 海外小説永遠の本棚 2014.5)

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