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西加奈子 (1977〜)

1.作品リスト      2.感想・内容メモ

Noタイトル出版年memo
01あおい2004
02さくら2005
03きいろいゾウ2006
04通天閣2006
05絵本 きいろいゾウ2006絵本
06しずく2007
07ミッキーかしまし2007エッセイ
08こうふく みどりの2008
09こうふく あかの2008
10窓の魚2008
11うつくしい人2009
12きりこについて2009
13ミッキーたくまし2009エッセイ
14炎上する君2010短編集
15白いしるし2010
16円卓2011
17漁港の肉子ちゃん2009.2
18地下の鳩2011
19この話、続けていいですか
「ミッキーかしまし」と「ミッキーたくまし」をテーマ別に整理しなおしてまとめたもの
2011エッセイ
20ふくわらい2012
21ふる2012
22めだまとやぎ2012絵本
23ごはんぐるり2013エッセイ
24舞台2014
25サラバ!2014直木賞
26まにまに2015エッセイ
27きみはうみ2015絵本
28まく子2016
29i2016
30おまじない2018
共著
■ダイオウイカは知らないでしょう(2010)
 せきしろ共著 / 短歌

感想・メモ
14 炎上する君
短編集。太陽の上/空を待つ/甘い果実/炎上する君/トロフィーワイフ/私のお尻/船の街/ある風船の落下、の8篇
西さんらしく独特で、よくこんな話を思いつくものだなぁと思う。星新一のようなSF的雰囲気の話もあったり、足が炎上している男がいたりと可笑しな話ばかりなのだが、どれも孤独な主人公が新しい世界に踏み出し生まれ変わる、前を向いて生きて行きたくなる話なのだった。傷ついて、再び傷つく事を恐れていても、もがいていたり、閉じこもっていても、いつまでも引きこもっていてはいけないのだ。家から、自分の殻から、出なければ。次の一歩を踏み出そう。「空を待つ」の携帯は魔法の鏡の様。「ある風船の落下」とても良かった。
17 漁港の肉子ちゃん
単純ですぐ男に騙される肉子ちゃん、38歳。太ってて鈍くて声は大きくて、でも憎めない。一方、親子逆のようにしっかり者の娘キクりん。北の小さな港町の狭い狭い世界での毎日。ペンギンのカンコちゃん、三つ子の老人、幽霊、野良猫の言葉。「サラバ!」を読んだ時、イントロダクションと思ったまま話が続いているように感じたが、これもなんとなく読み進んでいくうちにじわじわと良さを感じてくる話だった。
25 サラバ!
(上巻)“僕はこの世界に、左足から登場した” 父親の駐在先イランで生まれ一歳半で帰国、小一で今度はエジプトへ。ずっと「女性」である母と空気のような父、いつも問題を起こす変わり者の姉、常に波風が立たないようにする僕。姉や僕の事は読んでいて少し苦しくなった。ピラミッド、アザーンの声。地元の少年ヤコブとの出会い。サラバはさようならだけでなく様々な意味を孕む二人を繋ぐ魔術的な言葉だった。元気でな、俺たちはひとつだ。幸せだった家庭は不穏な雰囲気になり、帰国が決まる。ヤコブやエジプトでの事はこの後どの様に影響するのだろう。

イントロダクションと思ったまま話が続いているような感じも。

歩は5年生で帰国。姉と違いすぐに周囲の状況を察知して同化できる歩。処世術に長け、いつもすぐに「クラスの中心的な奴の親友」になれるのが羨ましい。高校進学。親友、須玖くん。阪神の震災、信仰宗教…。可笑しかったのは帰国後の母の反応。刻みネギのパックを見て「嘘やろ」、電車の親切すぎるアナウンスやいちいち値段交渉しなくていいタクシーに「このままでは日本人の手は退化し脳みそも小さくなるに違いない」など。

(下巻)奔放な大学生活、その後も華やかで順調な毎日を送っていたはずの歩はいつしか転落し、拠り所なく取り残される。反対に自分を見つけ落ち着いた貴子。そして歩の新しい一歩。自分の信じるもの。体の芯、体を貫く幹のようなもの。それを見つける事。周りや他と比べての勝ち負けやレベル云々ではなく自分がどうであるか。揺れない強さ。

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